養育費、相場や執行法について~財産開示と第三者からの情報取得~

「養育費は支払ってもらえるのだろうか?」「いくらぐらい払ってもらうのが普通?」「もしも払ってもらえなかったら?」など養育費について悩みがありませんか?

養育費の相場、民事執行法による差し押さえのながれついて行政書士×離婚カウンセラーが説明してみます。

養育費の相場は?養育費の決め方

養育費の相場金額が2019年12月に家庭裁判所によって改正されました。現代に合わせて相場の金額が少し高くなりましたが、それでもまだちょっと・・と個人的には思います。

養育費の相場(2019年12月改正)

相場なので必ずしもこの金額にしなければならないわけではないのですが、養育費を設定する上でこの金額が基準となります。

子供の人数や年齢、個人の収入によって変わりますので確認しながら当事者で金額を決めていきます。

決定した内容は離婚協議書を使って契約という形で支払いの約束を行います。

(離婚協議書には他にも様々な内容を盛り込みます)

離婚協議書についてはこちらをクリック

養育費は一度取り決めしたら金額は変えられないのですか?と聞かれることが多いのですが、双方の合意によって変更することも可能です。

離婚時に養育費を決定するのも値段を変更するのも、どちらもやり方は同じです。

民事執行法の改正

2020年4月に、民事執行法が改正されました。

民事執行法は簡単にいうと「差し押さえ」や「強制執行」について書かれた法律のことです。

この法律が養育費と何の関係があるかといいますと、今までは養育費については財産開示請求の対象となっていなかったり、

強制執行を求めた場合、相手の勤務先や銀行口座等はこちらが調べて提出しなければなりませんでした。

相手が住所や勤務先を変えたり財産を違う銀行に移した場合は特定することが難しく支払ってもらえないことが多くありました。

しかし、今回の法改正で養育費不払いのときに「財産開示請求」や「第三者からの情報取得手続き」が可能になり、銀行口座の預金を調べたり勤務先の情報も得ることができるようになったのです。

手続きとながれ

養育費を払ってもらえない時のながれについてお話しします。

  1. 債務名義、請求権を確認する
  2. 裁判や調停で養育費を決めた場合は家庭裁判所で履行勧告や履行命令ができる
  3. 判決や調停証書、公正証書が無い場合は簡易裁判所に支払督促を申し立てる
  4. 財産開示手続をおこなう
  5. 第三者からの情報取得手続をおこなう
  6. みつかった財産に対して強制執行(差し押さえ)を申し立てる

①債務名義、請求権を確認

まず強制執行や情報取得、財産開示を申請するには執行力のある債権の債務名義正本が必要となります。

債務名義正本とは、「判決」「支払督促」「調停証書」「公正証書」などの債権の請求権(相手に請求できる権利)があると認める書類の正本です。

※債務の種類によっては「執行文」や「確定証明書」「送付証明書」が必要となります。

②家庭裁判所の履行勧告や履行命令とは

離婚裁判や離婚調停によって離婚し、養育費についても取り決めをした場合それを守らせるための履行勧告や履行命令が利用できます。

家庭裁判所に対して申出をします。手続きに費用はいりませんが強制力はありません。

③簡易裁判所に支払督促を申し立てる

債務名義(判決、調停証書、公正証書等)を持っていない場合は、家庭裁判所または簡易裁判所に支払督促を申し立てます。

支払督促は書類審査です。請求が認められると仮執行宣言がついた支払督促になり財産開示手続や強制執行の申し立てをすることが出できるようになります。

④財産開示手続

財産開示手続きは債務者(相手)の所在地を管轄する地方裁判所に申し立てます。

①でお話しした債務名義(請求権)を持っていることが必要です。

申し立てをすると、裁判所が債務者(相手)を呼び出し、所有する財産を開示させます。

相手が出頭しなかったり自分の財産について嘘をついた場合は刑事罰が科せられる場合もあります(令和2年4月1日改正)

⑤第三者からの情報取得手続

第三者からの情報取得手続きは

  • 給与(勤務先)に関する情報
  • 預貯金に関する情報
  • 上場株式、国債等に関する情報
  • 不動産に関する情報(不動産についてはまだ開始されていない)

が可能です。

債務書(相手)の所在地の管轄の地方裁判所に申し立てます。

①でお話したような債務名義を持っていることが必要です。

不動産に関する情報と給与(勤務先)に関する情報は財産開示手続きを先にしている必要があります。

⑥強制執行(差し押さえ)を申し立てる

強制執行は裁判所に申し立てをして

  • 預貯金、給料など(債権執行)
  • 土地や建物(不動産執行)
  • 宝石や時計など(動産執行)

を売ったりしてお金を取り戻す方法です。

この強制執行にも①で確認した債務名義の正本、執行文や送達証明が必要となります。

債務名義があり相手の勤務先や預金等が分かっている場合はいきなり強制執行をすることも可能です(権利が発生している場合)

しかし、相手の勤務先や住所が分からない時や預貯金や銀行口座が分からない場合は財産開示手続きや第三者からの情報取得手続きをして、強制執行してもらう財産を確認してからする必要があります。

まとめ

いかがだったでしょうか、養育費の相場と養育費が支払われなかった場合の流れを簡単にですが書いてみました。

養育費を取り決めるには本人同士の話し合いで決めることができます、もしもの場合を考えて養育費等の内容を残す離婚協議書は公正証書にしておいたり、

協議書に執行文を付け加えたり、養育費については調停を利用するなど面倒に思うかも知れませんが後のことを考えて離婚時に準備しておくことが大切です。

養育費の不払いについては自治体が独自の支援があったり(明石市)、保証会社の利用や最近では前澤社長の「小さな一歩」など、民間の養育費受取サービスも始まりました。

今日の新聞にも養育費未払い問題が取り上げられてました。もっともっと養育費が簡単に確実にあたりまえに受け取れるようになることを祈っています。