遺言書を自分で書くのは難しい?~公正証書遺言の利用方法~

急な病気や認知症にそなえて遺言書を作成する人が増えているように思います。

終活や遺言書は認知症や寝たきりなどで判断能力が衰えてからでは、作成することはできません。

それでは元気な内に遺言書を書いておこうかな?と思ってもどうやって書けばいいの?自分で書くのはちょっとめんどくさいかも、、

後で「この遺言書は使えません」と言われたらどうしよう、、など悩みはありませんか?

この記事では、自筆では遺言書が書けない人や自分で作成するのが不安な人のために公証役場でつくる「公正証書遺言書」について行政書士のいもとが解説していきます。

公正証書遺言書とは

公正証書遺言書とは、公証役場で公証人によって作成される公文書になります。

公証人が作成人の意思を確認しながら作成するので、偽造等の疑いが少ない信用性の高い遺言書といえます。

基本的に公証役場に出向いて作成しますが、入院中や外出が困難な人のために出張してくれるサービスもあります。(出張代がかかります)

公正証書遺言書の原本は公証役場で保管してくれるので、万が一紛失してしまった場合も安心です。遺言書を作成していたかどうかも検索することが出来ます。

公正証書遺言書作成のルール

公正証書遺言書を作成するにあたっていくつかのルールがあります。

①証人が2人以上必要

遺言の内容に利害関係のない証人が2人以上必要です。遺言者の配偶者や家族、未成年などは証人にはなれません。

②遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること

遺言者は遺言の趣旨を公証人に口授しなければならないとなっており、「口授」すなわち口頭で述べる必要があります。

聴覚や言語機能に障害のある方は手話等(通訳者も必要)でかまいませんが、病気等でしゃべることが難しくなった人がうなずきや首を横に振る程度で口授があったとするのは難しいとされています。

(聴覚障害の場合は通訳を介して遺言するか、書いて確認します)

あらかじめ遺言書の原案を作成して公証人に提出し、公証人がその内容をもとに遺言証書を作成し、その内容を読み聞かせて遺言者が承認することも許されています。

③公証人の筆記、読み聞かせ、閲覧

「公証人は遺言者から遺言の内容を聞き、これを筆記し遺言書を作成し、その後作成した遺言書の内容を遺言者と証人に読み聞かせるか、閲覧させなければならない」

とされています。(聴覚障害がある場合は、閲覧又は通訳者を通して確認します)

④遺言者および証人の承諾・署名押印

読み聞かせや閲覧で遺言書の内容が正しいと確認した後は、遺言者と証人は公正証書遺言書の原本に署名し押印します。

遺言者が署名できない場合(病気やケガ、読み書きの不自由な時は)公証人が理由を記載して署名に変えることができます。この特例は証人には適応されません。

押印する印鑑の種類は決まってはいませんが、写真付きの本人確認書がない場合や公証役場によっては実印と印鑑証明が必要になります。証人は実印の必要ありません。

公正証書遺言書が無効になるケース

遺言書については、自筆遺言であっても公正証書遺言であっても無効になってしまうケースがあります。

自筆証書であれば、必要な項目が満たされていなかったり不備があった場合や、遺言書の作成能力があったかどうかについてが問題になり無効になってしまうことがあります。

公正証書遺言についても同じように遺言書作成の能力があったかどうかが疑われ、裁判で無効とされたことがあります。

一般的に民法では、遺言書を書く能力については「判断能力」までは必要なく「意思能力」があれば足りるとしています。

意思能力がどの程度あったか?については年齢や病状、主治医の診断などを総合的にみて判断されるようです。

また公証人とのやりとりでの不自然さや遺言書の内容の乱れ、ちぐはぐな文章などで意思能力に疑問が出る場合もあります。

後から本人の意思能力に疑問をもたれないため、遺言書作成時点で医師の診断書をとっておくことも考えておきましょう。

最後に

公正証書遺言書は公文書での遺言書ですので、遺言書が無い場合に必要となる「遺産分割協議書」や自筆遺言書の場合に必要な「検認」制度は必要ありません。

遺言書があることによってもめごとを減らす効果もあります。

このように遺言書の本来の目的は、相続の手続きを減らしたりスムーズにするため、自分の意思を伝えることです。

本来の目的から外れて新しいもめごとや争いの種にならないように遺言書を作る前にしっかりと対策や準備をしてくださいね。